家には必ず周りの環境があり、計画を進める初期の段階で周辺環境と建物の関係調整が必要となります。景観の良い方向があればその対象に向け窓をとり、内部にその景色を取り込んだり、近隣からの視線が気になれば極力その方向に対して閉じる。それでも太陽の光を取り入れたいときは視線が気にならない高さに窓を取る。そんな調整を大切にします。
敷地の面積制限などにより、内部の空間を広く取れない事もあります。そんな時、例えば、中庭・バルコニー・庭のデッキ等との境界線を緩やかにすることで、外部の空間を中に半分取り込む事ができます。境界線を緩やかにする為には床の材料を中と外で同じものを使う。庇と天井の勾配をそろえるなどの方法があります。中と外の中間にある”半外の空間”を有効活用したいと考えます。
太陽の光、風、雨などの自然条件を上手に活かす(または防ぐ)ことによって、住まいの住環境は快適さを増し、エネルギー消費を抑えることができます。例えば、南側に深く伸びる屋根(軒)は夏場の昼間には部屋に入れたくないギラギラ太陽光を防ぎ、冬場の寒い時期には部屋の奥まで暖かい太陽光を取り入れることができます。南北に設置された窓は、自然な風を家の奥まで取り込みやすくしてくれます。自然条件を上手に利用することで家族の健康、生活費のコストダウンにつながると考えています。
イメージしてみて下さい。
小上がり(こあがり)になった和室に腰かけ、洗濯物をたたむお母さんに今日の出来事を少し大げさに話す子供…
スキップフロアーの勉強コーナーからキッチンにいるお母さんの様子を覗き見る子供が”今日の晩ごはん、からあげかな?”と想像しながら宿題をもうひと頑張りやっつける姿…
高さの違いを利用するとことで居場所のつながりを作り、家族同士のつながりを演出することができます。空間の高さを上手に使うことで、家はより楽しく演出できると考えています。
日本では、一般的に家の面積の1割を収納にするべきと言われています。ただ、広さがあればいいというものでもありません。物にはそれぞれ収納すべき場所があります。例えば、買い出しに行き、買ってきた食材ストックは家事動線の中のキッチン付近。ベビーカーやお父さんの釣り道具は玄関付近のクローク。トイレットペーパーの予備はトイレ近くの廊下の収納へ。また、収納を考える時、要となるのが収納の間口であり、収納の間口で収納量が決まります。無駄に奥行きが深い収納は奥のものが取り出せなくなり、開かずの収納を作ってしまうことになります。納めどころのないものが出ることは、生活の中でのストレスに直結します。私たちは、それぞれのご家庭の生活スタイル、現住居の収納状況をしっかりとヒアリングし、物の納まる収納計画をご提案します。
設計事務所に設計を依頼すると、多くの場合施工を工務店にお願いすることになります。ハウスメーカーや工務店の場合は、同じ会社の中で設計担当者から現場担当者に引き継がれる場合が多いです。そこで大事になるのが、設計者の思いが現場担当者に伝わっているか?また、設計担当者が現場に正確に伝わる設計資料を作成できているか?という事です。私は前職にて設計~現場管理までワンストップで担当してきた経験を活かし、建築現場の理解しやすい図面資料を作成し、お客様の思いが現場までしっかり伝わり、設計者・建築現場が一体となって家づくりというプロジェクトを進めていくことを目指します。